『ひとりが要介護になるとき』

『ドキュメント ひとりが要介護に
  なるとき。
 単身老後に「在宅」は大丈夫ですか!?

 (編著者 山口道宏 発行所 現代書館)

 

 題名からして重い。内容も予想どおりとても

 重い。気持ちが暗くなるから読みたくなかっ

 たのだけれども、そうも言っていられないと

 思いながら読みました。

 ひとり暮らしが気をつけなければならない

 ところを拾ってみました。

 

 ━ここまで関係者の話を整理すると、ひと

 り暮らしが老いるときの課題の最たるものは

 情報が届かないことにあった。

  高齢者間にも情報格差が存在する。リタイ

 ア後の「人脈」の貧困は暮らしの貧困に連動

 するといい、とりわけひとりの老後で大切

 なのは「金、人、情報」と言われて久しい。

  何が浮き彫りになったのか。傾聴ボランテ

 ィアがいるといった情報すら届いていないこ

 とがわかった。自分の周辺にさまざまなサポ

 ートがサービスとして存在すると知っている

 だけで心が落ち着くし、サポートの組み合わ

 せ方を本人がわかっていれば、在宅のひとり

 暮らしもスムーズにいく、と説くのだ。

 (中略)

 情報が届かないということの背景に、パソコ

 ンが使えるかどうかもありますよね。いまは

 インターネットにアクセスできないと大切な

 情報がわからなかったりしますから、パソコ

 ンが使えない方は情報弱者となって情報がま

 ったく入ってこなくなってしまう。耳にした

 話が正しいのかどうかも検索すれば確認でき

 るでしょう?だから理解もしやすくなると思

 うけれど、訪ねてくる人もいないし、テレビ

 しか見ていないとなると、必要な情報は入っ

 てこないですし、入ってくる情報も誇張され

 て歪められた情報だけとなってしまいますか

 ら」(p76)

 

 パソコンが重要な”味方”になるのですね。

 80代以上の人に「情報弱者にならないために

 パソコンを使えるようになりましょう」と

 言っても今からでは無理な人もいるでしょう。

 80代でなくても普段仕事で使ってこなかった

 人も「今さらパソコンなんて」と覚えようと

 しない人もいるでしょう。

 ソリタリーの人はそのようなことはないと

 思います。パソコンがなければ、世間と遮断

 されてしまいますから。

 しかし、パソコンどうのこうのと言うより、

 自分の人生に真剣に取り組むかどうかの問題

 でしょう。真剣に取り組む人は考える、声を

 上げる。そうしないと生きていけないのだか

 ら。危機管理ができるかどうか。しようと

 するかどうか。結局は”自分”ですよ。

 

 『今から考える終の棲み家』(平凡社新書)の

 著者・大沢久子は「ひとり暮らしの、いま」を、

 こう語る。

  「・・・・・・ひとり暮らしの高齢者が増えてい

 るなか、要介護者も確実に増えていく。老人

 施設数が圧倒的に少ないため、要介護者すべ

 てが施設に入居するのは不可能です。老人施

 設に入居できない要介護者は、在宅で介護を

 受けるしか方法はなくなります。とはいえ、

 誰もが介護が必要になるわけではありません。

 いかに要介護者を少なくするかが重要です。

 でも、現在の介護保険制度は、要介護(要支

 援を含む)になってから利用できるもので、

 人間はケガや手術・入院は別として、急に要

 介護状態になるわけではありません。ひとり

 が何となく不安、探し物が見つからない、買

 い物がきつい、など日常生活に不安を感じ始

 めるころ、要支援より少し前あたりからケア

 が必要だと思うものの、そこのシステムが

 構築されていません。

  現在は自治体まかせのため、自治体によっ

 て差があります。要支援よりも前段階から自

 治体等が高齢者とコンタクトを取り、必要な

 支援をし、介護が必要になったら、介護保険

 につなぎ、自宅での在宅介護が困難になった

 ときに老人施設に入居、という流れがスムー

 ズにできるのが理想だと考えています」(p77)

 

 介護が必要になってから、さあ、どうする?

 では遅い。忍び寄る老いを自覚しないと。

 来るぞ来るぞと自覚しつつ準備を進めていか

 なければ間に合わない。と言うかそれができ

 れば苦労はしないのだけれども。

 

 ソリタリーが最も危ない。

 ソリタリーのみなさん「ひとごと」だと思わ

 ないでください。自覚をしてください。

 この本には残念な人の例が書かれています。

  残念な人にならないように・・・・・・