アルコールと認知症

 はたして「酒は百薬の長」なのか?

 「酒は百薬の長」と言われますが、脳にとっては

 必ずしもそうとは限らないそうなのです。

 

 『脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法』

      (著者 新井平伊 発行所 文藝春秋)

 この本のアルコールに関する部分をご紹介します。

 

 さまざまな研究で、酒は神経毒であるという

 事実がわかってきました。一次的なダメージは

 神経細胞へ、二次的なダメージは血管を介して

 やって来ます。(中略)

 アメリカで行なわれた大規模な研究は、酒を

 飲む60歳と飲まない60歳の脳の萎縮度合いを

 調べました。その結果、萎縮が少ないのは

 次の順になりました。

  ①酒を飲まない人

  ②少量だけ飲む人

  ③大量に飲んでいたが止めた人

  ④大量に飲んでいる人

 飲酒が脳に直接的なダメージを及ぼし、

 神経細胞がやられてしまう事実が判明

 判明したわけです。(p163、164)

 

  酒が持つさまざまな悪影響

   ・糖尿病の一因になる

   ・バランスの取れた食事を取らなくなる

   ・カロリー過多になる

   ・ビタミンや鉄分が不足して貧血になりがち

   ・眠りが浅くなって、睡眠の質が悪くなる

   ・覚醒作用がある → 依存症 → 禁断症状

             (p165、166から抜粋)

 

 脳へのダメージが大きいのは、一度に飲む

 量よりも、毎日飲む習慣です。

 脳の萎縮を着実に進めるからです。

 「休肝日」という言葉は肝臓への負担軽減

 から出てきたものですが、

 脳にもいいことです。(中略)

 私は外来でこう話します。「人生取るか、

 酒取るか」で「10年後が全然違う」と。

                (p167)

 

  ━  酒やめますか、人間やめますか  ━

 こんなフレーズがうかんでしまいました。

 

 しかし・・・・・・認知症予防の食事の本には

 このようなものもあります。

 

 赤ワインにはレスベラトロールというポリ

 フェノールが多く含まれており、抗酸化力

 だけではなく、脳の神経細胞を活性化させ、

 認知機能を向上させることも明らかと

 なっています。(中略)

 少量から中等量の適度な飲酒者は非飲酒者

 に比べてアルツハイマー型認知症を含む

 認知症発症率が42%軽減され、特に脳血管

 性認知症では発症率が70%軽減し、効果が

 顕著であったとの報告がなされています。

 (『認知症予防食生活支援指導員試験

  公式テキスト』(p190)

  監修  特定非営利活動法人

      予防医学推進協議会 

  発行所   TAC出版 )

 

 はたしてどうなのでしょう?

 このような場合、自分に都合のいい方を

 選択するのではないでしょうか。

 ないでしょうか。ポリフェノールは 〇

 なのだ、と。

 

  しかし・・・・・・次のような記事も見つけて

 しまいました。 

 仏衛生機関、「適量の赤ワインは健康に

 良い」説を否定


 フランス人の間で広く支持されてきた

 「フレンチ・パラドックス」。

 フランス人は肉類の摂取量が多いのに

 心臓病の死亡率が低いという疫学的な

 逆説を意味する言葉で、その理由として

 あげられたのが「赤ワインを飲んで

 いるから」。この説を信じる人も多いが

 仏消費者団体UFCは6月10日、「1日2杯の

 ワインが禁酒よりも健康的だとする誤解が

 広まっているが、仏国立衛生医学研究所

 (Inserm)がフレンチ・パラドックスを強く

 否定する報告を行った」と伝えた。(中略)

 Insermは「適量の飲酒が、まったく飲酒

 しないことよりも健康に良い」のではなく、

 「適量の飲酒は、過度な飲酒よりもリスクが

 低くなる」のが正しい解釈だと強調。

 休肝日をはさみながら1日2杯以下、1週間に

 10杯以下に抑えて健康を維持するよう

 呼びかけている。

 引用元:WEBニッポン消費者新聞 2021/6/11        

www.jc-press.com

 

 「過ぎたるは猶及ばざるが如し」

 アルコールもほどほどがよろしいようですね。

 それにしても

  毎日の飲酒は最悪。タバコよりも

  酒のほうが脳にダイレクトに害をなす

  『脳寿命を延ばす 認知症にならない

  18の方法』(p161)

 恐ろしいですね!